こんにちは!小浜島のヒロサ―です。皆さんSUPやってますか!?
ここ、小浜島でもSUPは一大ムーブメントを起こしており、僕も
SUPをベッドにしたい位はまってます。
しかし、今回はSUPの楽しさ!を書くわけではありません。
ドはまりしているので、いつか必ず書くと思いますが・・・・
今回はSUPボードのハンドル部の側面に沿って穴が開いてしまった時の
修理の仕方を書きたいと思います。
もう一度言います。
「 ハンドル部の側面に沿って穴が開いてしまった 」のです。
こんなことってあまり無いのか、ネットで調べても直し方が載ってないんですよ。
しかし、僕は自力でなんとか直したのでそれを記しておこうと思います。
失敗も沢山しました。読んでもらえればわかりますがシャレにならないような失敗を・・・・・
しかしこのブログを見たらきっと自分でボードを修理出来るようになるはずです。
ただ、僕は全くの素人ですので僕と同じやり方をしてうまくいかなくても
本当すみません。また自分で修理しちゃうとボードを痛めることも
多々あるし、最悪、二度と使えなくなってしまうこともあるし、
修理をやっぱり諦めてプロにその後お任せした時に
なんでこんなことしちゃったの?なんて言われることもあるようです。
リスクを受け入れた上で全て自己責任でお願い致します。
でも、修理を自分でやってみたい!って方には何か参考になることが
あると思いましたので執筆を決意しました。
ちなみに、僕は別に修理したかったわけじゃなくて、小浜島には当然ボードを修理してくれる
業者さんがいないから自分でやらざるを得なかっただけです。
不便さ故に奮闘を余儀なくされてしまったのです。
そして、ただ僕がやった修理方法を書くだけでも良かったのですがちょっと物語風に書きます。
長いのですが、文章自体を楽しんでもらえたら幸いです。
それではどうぞ~
プロローグ
それは夏の香りが島中に漂うとても暑い日の午後だった。
愛用のSUPボードでいつものように徒歩40秒の海で
はしゃぎきった後、SUPのハンドル部を掴んで運ぼうとした僕の目に
「違和感」が飛び込んできた。
え?なんだこれ?
SUPの上に貼ってあるゴム(デッキパッドと言うらしい)が
破けてる・・・・・
何かでひっかかっちゃったのかな・・・・・
この破けが、なんなのか良くわからないが、一先ずちょっと押してみる。
ペコペコっ ペコペコっ
え?ウソ?
まさか・・・・まさか、デッキパッドが破けただけじゃない??
SUPボード自体が凹んでるのか?
取り合えずもう一回押してみよう。
ペコペコっ ペコペコっ
いやいやいやそんなはずは・・・・・
取り合えずもう一回押してみよう。
ペコペコっ ペコペコっ ペコペコ・・・・・
いやいやいやうそうそうそうそ
ペコペコっ ペコペコっペコペコっ ペコペコっペコペコっ ペコペコっ
・・・・・だめだ・・・・・
何度ペコペコしても、ボードがペコペコしてる現実から逃れることが出来ない。
あああ・・・・・しかたない・・・・・
デッキパッドをはがしてぺこぺこの正体を暴くことにしよう。
デッキパッドは接着剤でボードにしっかり貼られているが
カッターとスクレーパーで丁寧にはがすことにした。
修理が始まった。
デッキパッドをはがす
中古とは言えまだまだ本当に綺麗なボードにメス(カッター)を入れていくのは
決意と言う勇気がいることだ。
メスで切れ目を入れた後で他のとこを無駄に切り取ることのないようにスクレイパーで慎重にはがしていく。
ボディと割としっかりついているためになかなかうまく剥がれない。
ガリガリガリガリ・・・・・
デッキパッドを削れば削るほど見たくない物が見えてきた。
わかっていたけど、こんにちは、ヒビ。
SUPボードがペコペコしちゃってるのはSUPボードが
ペコペコするくらいヒビが入っていたからなのだという当たり前の現実を
やっと受け入れる。
そして接着部分がどうしても剥がれないのでガソリンをちょーーっとしみ込ませた
布でこすって落とす。
ヒビは実にハンドルを囲むように半分ほど入っているではないか。
それにしてもなんでだろう??なぜ、ハンドル部分にヒビが入ったのか全く見当がつかない。
さて、どうすりゃいいんだ?ボードなんて直したこともないし、むしろ壊したこともない。
ネットで「サーフボード修理」などで検索するとかなりの数のサイトがヒットするが
「SUP ハンドル 修理」とか調べちゃうとグーグル先生は全くお悩みを解決する
気がなくなるようだ。
まさか念願の?初壊し体験がグーグル先生でも解決できない
超ド級のヤベー壊し方だった事実を目の前に抱えた頭もいつもより重たい。
うーん・・・・・と考え込むが・・・・・
考え込んでも答えは出ない・・・・
そうだな・・・・・アレを使うしかないな・・・・・・
FACEBOOKやinstagramに現状を投稿して皆の意見を聞こう。
と、皆の意見を聞くと言うのは表向きの理由で本当は
「あっ自分が直せるよ!」
って方が現れてあっという間にボードを修理してもらう
ことを密かに願っていた。
しかし、この作戦はある不安が付きものなのだ。
それは、「あっ自分が直せるよ!」って方が
複数人現れた時に非常に面倒なことになる
ということだ。
どちらかを選んだらどちらかにカドが立つしなぁ
こっちの女の子を選んで、こっちの女の子を嫉妬させちゃ
いけないしなぁ。男と女が名乗り出てきた時は、
女を選んだら妻を嫉妬させてしまうかもなぁ
うーーーん・・・・・なんて本気で悩んでいたけど
直してくれる人は現れなかった。
嫉妬させたらどうしよう、
という心配ほど人生にとって無駄なことは無いとこの時悟った。
しかし、ボードの修理に関しては意見が様々集まった。
意見を大きく分けると
案1 そのまま、ヒビに接着剤塗って塞ぐだけでいいじゃん
案2 ヒビの中に水が浸水している可能性があり、
ハンドルを思い切って切りとっちゃって根本的な解決を目指すべきだ!
という2案だった。
案2を補足すると、どうやらボードの中はフォームと言って、
発泡スチロールのような物が入っており
そのフォームに水が浸水してしまうとフォームが
腐りボードが使い物にならない可能性がある、とのこと。
腐る・・・・?
腐るのはさすがに勘弁してほしい。
しかし、正直に言ってしまえば
1も2もどちらもやりたくないのが本音だ。
だが、「あっ自分が直せるよ」のコメントが付かないので仕方ない・・・・
やれやれだぜ・・・・自分でやるか・・・・・
案1のそのまま接着剤はお手軽なんだけどなぁ
案2のハンドルを取ってしまう勇気はわかないなぁ
諦めきれず、やはりこの段階でも何度も何度もあの手この手で
検索サイトで調べてみてもやり方が出てこない。
遂に「SUP handle broken」などと検索して海外のサイトまでチェックしたが
それでも全くやり方が出てこない。
・・・・なぜ誰も同じ悩みごとを持ってないんだ。無性に孤独を感じる。
このくそったれな世界で僕は独りぼっちなのだ。
などと中二病に侵されたようなセリフをつぶやく。
どうにか、ハンドルを取らずにボードも腐らなくて済む方法は無いのだろうか・・・・・
しかし案1を行うにしても、ペコペコしてしまっているのでここを接着剤したところで
中に空間があるわけだからいずれ踏んづけたら割れるんじゃないか?という不安も拭い去ることが出来ない。
ハンドル部分はよく足で踏む部分だしなぁ
だめだ・・・・心を落ち着かせて考えよう。
再びペコペコしながら考える・・・・
ペコペコペコペコペコ・・・・・
ペコペコしていると何故か落ち着く。
あっ・・・・・そうだ・・・・・
それなら、この割れ目の隙間にドライヤーで風を送って中を充分乾かしてから
隙間から本物の発泡スチロールを細かく刻んで詰め込んで
ペコペコを解消してから、そこから接着剤でやればいいのでは?と、天才みたいなアイディアがひらめいた。
これなら、ハンドルを切り取るということもしなくて済む。
「困るということは次の新しい世界を発見する扉である」とエジソンは言ったが
まさに!その通りである。
困って良かった。
さぁ、ボードの中を乾かして発泡スチロールを詰めて接着剤をするという
修理界の新しい世界の扉を開けに行こう。
そうと決まったらドライヤーを・・・
いや、違うな、新しい世界ではこっちだな。
知り合いからこんなブロワーを借りてきて
数時間ヒビに向かってブロワーを行うことにした。
そして乾ききったと思われたのでとうとうヒビに発砲を入れていく。
さよならペコペコ。ちょっと寂しいけど、お前とはもうお別れ。
ぎゅっぎゅっ・・・・細かく刻んだ発砲をぎゅっぎゅっぎゅ入れていく。
ニヤニヤしながらぎゅっぎゅっぎしていく。
この作業は結構楽しい。ぎゅっぎゅっぎゅっぎゅっぎゅ・・・
あれ?
っぎゅっぎゅgっぎゅgっぎゅgっぎゅgっぎゅggyぐ!!
っぎゅっぎゅっぎゅっぎゅっぎゅっぎゅっぎゅっぎゅっぎゅ!!!!!!
どんだけ入るんだ・・・・・
っぎゅっぎゅっぎゅgっぎゅ・・・・・!!!
入れても入れても発砲はブラックホールに吸い込まれるように入っていく・・・・
これは・・・・ハンドルの下にとても大きな穴があいているのだな・・・
しかししばらくするとようやく終わりが見えてきた。ヒビが埋まってきたのだ。
あとちょっと・・・
あとちょっと・・・・・
しかしここで原因が未だに不明な
不思議な不思議な事件が勃発!!
発泡スチロールを入れれば入れるほど
ヒビがSUPボードに吸い込まれるようにめり込んでいく!!
つまりペコペコ部分がSUPに入っていってしまっているのだ。
わかります?ペコ部が凹んで中に入っていってるのが。
いやいや、そんな馬鹿な・・・・なんで?なんで?と頭を抱えます。
一回詰めちゃった発砲を先のとがったもので取り出したりして何度やっても
ペコペコは盛り上がってきません。
頭の中では簡単だと思った作業が実に難しいことが判明した。
何が修理界の新しい世界だ。
修理界の新しい世界は摩訶不思議で一杯だ。
このまま接着剤で固めてしまおうかとも考えたが、ここだけ凹んでて非常にかっこ悪い・・・・・
そして・・・空を一回見上げ、腹に決めた・・
「もう、いいや・・・・・案2しかねーわ。ハンドルごと切ってしまおう・・・・」
とたんに色々考えたりするのがめんどくさくなってしまって切り取ってしまって根本的
解決を図りたくなった。
ボードを切る方法を調べるとどうやらカッターナイフで十分切り取ることが出来るようだ。
意を消してペコペコ部分からSUPをギコギコ切ることにした。
ギコギコギコギコ
刃物を持って普段切ることの無いものを切っていると
何かいけないことをやっている背徳感に襲わるがもう誰も、僕すら僕を止めることは出来ない。
だってSUPを切っちゃってるから。ここで止めるわけにもいかないだろう。
そして・・・・・・
パコ!
とれた!!!!!
ハンドルを取ると・・・分かってたが
中から大量の切り刻んだ発泡スチロールが出てくる。
おぅ!と一応びっくりしておく。
誰がこんな愚かなことをしたのだろうか。
何も無かったように大量の発泡スチロールは闇に葬った。
そして、発泡スチロールを取り除いた後で穴の大きさを確認するが
結構な隙間が空いていた。
中に手をつっこむと・・・・・・ビチョビチョしてるやん・・・・・
ブロワーまでやったのに意味が無かった。
詰めに詰めた発泡スチロールも意味が無かった。
「新しい修理の世界」を闇に葬る。
しかし危なかった。
このままではボードが腐る所だった。
案1を選択して、接着剤だけで割れ目を止めるだけじゃやっぱり駄目なのだったのだ。
摩訶不思議にヒビが凹んだのも神からのメッセージだったのかもしれない。
そして中にティッシュを詰めれるだけ詰めて水分をとり、今度こそドライヤーで完全に乾かす。
カラカラだ。
さて、一方で切り取ったハンドルを見ると、網目の物が張り付いていて
その中に水が入っていて出られなくなっている。
こ、これは・・・・・とった方がいいのか?ちゅうかこの張り付けてあるものは一体なんだ?
などと色々疑問が浮かびネットで調べるが、相変わらず何もわからない・・・・
インターネットの検索で「SUP ハンドル 底面」とやっても何も出てこないのだ。
やはりこのくそったれの世界で一人ぼっちなのだ。
ネットの外側の未知なる世界へと勘と経験を頼りに突っ込んでいかなくてはならないのだ。
その網目の物を触ると・・・・
ペコペコっ ペコペコっ
あっペコペコおかえり。
また再びペコペコと出会えた喜びに浸りたい所だがそんな暇はない。
しかし今度のペコちゃんの中は水が溜まっている
えーい、考えてもわからないものはわからない。
もう、プロに聞くことにしちゃおう。
石垣島にある唯一のサーフショップの方に聞いたり、
SUPを製造している会社に聞いたりしてみた。
どうやら、これはガラスクロスというようで、ハンドル部に貼ることでハンドルを強化しているようだ。
一度はがしてしまってガラスクロスをもう一回貼れば良いというアドバイスを受ける。
そんな簡単に言うけど、ハンドル部にガラスクロスを付ける作業なんて
どうやってやるのよ?
激レアよ?そんなことしたことある人は。
コンタクトレンズを皿に枝豆食べたことある人位レアじゃないかと思うよ。僕は。
自分で出来るのだろうか・・・・・
とは言え、もう、ハンドル部分を切って取ってしまった後だ。
プロの人にここから頼んだとしても
なんでこんなことしちゃったの?
と言われるのに決まってる。
それだけは避けなくてはならない。
よし、やろう。
自分でやろう。
さて、修理の行程をネットを駆使した知識でざっくり確認しておきたい
サーフボードの空いてしまった穴に、フォームと言うサーフボードの中身を詰める。
これは発泡スチロールでも良いそうだ。
そしてそこに接着剤である樹脂を流して固める
そして固まって整形できたら、そこに
とってしまったハンドルをはめて上からガラスクロスをまた樹脂で貼って完成となるわけだ。
あれ?いけるんじゃね?簡単な気がする。
さて、道具を選ぼう。
ボードには素材の違いがあって、自分のボードに合わせた修理道具が必要になるようだ。
そしてそれぞれの道具で今回の修理で最適なのは一体何なのか自分なりに調べる。
修理の道具
ボードの素材の種類は主に2種類だ。
「ポリウレタン素材(PU)」
サーフィン界ではこのPUがブランクス(フォーム)の主流のようだ。
細かい気泡があるのが特徴で強度と適度なしなりがあり、ターンの伸びが良いようだ。
そして
「ポリスチレン製(EPS)」
新しく開発され圧倒的な人気があるのがEPSでPUより比重が軽いので浮力があるよう。
この素材の違いによる波の乗り心地の違い等は僕には全くわからないが
修理においては明確な違いがあることを頭に叩きこむ必要がある。
それは、素材によって修理用に使う接着剤が違うからだ。
もし間違って使ったら・・・・どうなると思います?
なんとSUPボードが溶ける!ようだ・・・・・・
接着剤使ってくっつけることと
何かを溶かすことって、全く逆の行為だ。
接着剤を使って何かを溶かしたら、これぞ、本末転倒・・・・なんて例えたら良いかわからないが
アデランスいったらハゲた、みたいな感じか。
ハゲたくないハゲたくない・・・・・はぁはぁ、これは慎重にいかないとまずいぞ・・・・・
サーフボードがPUの場合はFRPのポリエステル樹脂、EPSの場合はエポキシ樹脂を使用するようなのだ。
もし素材がEPSの場合、ポリエステル樹脂を使うと溶けるようなので
本当に要注意して欲しい。(ちなみに逆に素材がPUの場合はエポキシ樹脂でもOKのようだ)
しかしPUはポリウレタンの略だし、EPSはポリスチレンのことだし
その上ポリエステル樹脂と、
ポリポリポリポリ・・・・・ポリポリ非常にややこしい。
結局俺のボードの素材は「ポリどっち」なんだ・・・・・??
しかし、SUPボードをよーーーく見ると「EPS」と書いてある!僕のはポリスチレン製だったのか・・・・
ポリスチレンなのでポリエステル樹脂はNGになる。
一応、念には念を入れてネットで型を調べて、さらにSTARBORD JAPANに電話までして
自分のSUPボードがEPS製だということの自信を確定に変えていく。
ネットで、EPS用のボード修理の道具を熟考。
そして以下の物を購入することが決定した。
エポキシ樹脂
これは硬化剤が別になっていて、正確な分量の元、接着前に混ぜて使用するようだ。
そして隙間を埋めるフォーム。
発泡スチロールで埋めようと思ったがデキャントのフォームフィラーというのを買った。
これはPU(ポリウレタン)製なのでEPSのボードに入れちゃっていいのか?
という疑問が浮かぶ。
サーフショップの方に聞くが、これで大丈夫、とのこと。
さきほど書いたがエポキシ樹脂がポリウレタンを溶かすことはないようなので大丈夫なのだ。
裏面をみると「火気厳禁」と書いてある。
・・・・・・別におもしろくもなんともないのだがなんとなーく
SUPボードの上で焚火をするやつなんているか?なんて馬鹿なことを考える。
次はガラスクロス。これは、超重要アイテムだ。
ハンドル部に巻くにも、修理後SUPボードに敷いて強度を増すにも必須アイテムだ。
ガラスクロスに関しては種類が色々ありそうだしサーフボード修理に
特化したものでなくても大丈夫な気もするが知識がないので
念の為にサーフボード修理用のを購入しておこう。
そして修理方法を色々調べていくうちに何気に重要かと思ったのがこれだ。
パウダーセルラージ
これが一体なんなのか説明する。
樹脂が液体のままだと非常に使いずらい場面が多いがこれを混ぜることにより
粘度が増して樹脂をペースト状にすることが出来る。
例えばほっぺたの傷に塗るのは液体よりある程度固形である塗り薬の方が
塗りやすいというような例えでわかるだろうか。
なのでこれは買っておこう。
頭では完璧修理のシュミレーションがついた。何度も復習した。間違いようがない。
あとは
・マスキングテープ
・紙やすり
・ハケ
・接着剤を混ぜる紙コップやガラスの入れ物
これらを用意した。
さぁ道具もそろったし、修理に取り掛かろう。
ハンドル部の修理
まずはハンドル部分のペコペコしてる古いガラスクロスを破く。
カッターで切り刻んだら簡単にとれた。
なんか側部にコンクリートみたいに硬く張り付いた物があるが気にしないでおこう。
ガラスクロスをエポキシ樹脂を使い丁寧に張り付ける。
この樹脂を硬化剤で2:1で分ける。本当はかなり正確に測らないといけないらしいが
産道すら適当に通ってきた僕がそんな律儀なことは出来ない。
ペットボトルの蓋を使い、満タンを1としてカウントすることにした。
そしてペタペタと貼っていく。ガラスクロスは重ねて使用してもOKなので
折りたたむように貼っていく。塗った所は透明になってくれるので塗り残しもあり得ない。
この作業中は一切樹脂が固まる気配がないので作業は思ったより楽ちんだ。
作業後、放置すること数時間。このような感じでガラスクロスを巻くのは成功した。
あとは上に飛び出した不要な部分をハサミでカットすれば万事OKだ。
ハンドル部の修復は難しくはなかった。
さ、次の行程に行こう。
ハンドル部の奥に空いていた穴を埋めていく。
なぜ、こんなに隙間があるのか。いつ隙間が空いたというのか。想像しても全くわからない。
元々空いていた?いやいや、そんなことはないだろう。
しかし、もとから空いていた穴であるならばちょっと大きすぎないか?
海水が溶かしたのか?
恐らく、海水が入ってしまったらフォームを腐らせるというのはあながち間違いではないのかもしれないが
だとしたら腐ったフォームはどこにいったのだろうか・・・・腐ったから消えたのか?
わからなすぎる。
空いてしまっている
穴を目の前に何も答えが出ぬまま呆然とするしかなかった。
呆然としても穴は塞がらないので、さっさと埋めてしまうことにしよう。
ここに、まずフォームをつっこむ。そして、ボードを縦にして樹脂を隙間に流せば良いだけだ。
頭で考えただけでは実に簡単な作業だ。
しかし、どれだけの樹脂が必要かも検討がつかない。
穴がどれだけ深いかもちょっとわからない。
うーーーん・・・・・どうしよう?
一回硬化剤を混ぜてしまった樹脂はもちろんとっておくことは
出来ないのでここは、勘でいくしかない。
まずは穴に適当に切ったフォームをつっこんでいく。
結構、ぎゅっぎゅっぎゅという感じで押し込めていく。
よし!大体塞がったな。さて、いよいよ樹脂を流しこんでいこう。
一回目。ペットボトルのふた2杯:1杯で作る。それを流し込む。ぜーーーーーんぜん足りない気がする。
さらにもう1回。
砂漠にスポイトで水を垂らしたように一瞬で樹脂がSUPに吸い込まれていく・・・・
いやいやいやいや全然全然全然足りない。
結構つくっちゃえーと、6杯:3杯で作り、それをパウダーで適当にペースト状にして流し込むことにする。
だだだーーーー。
流した樹脂がようやくちょっとあふれてきた。よしよしこれでOK。
あとは固まるのを待つだけだな・・・・・
途中から手伝ってくれている妻に「大丈夫だよ上手くいく。」と
親指を立てる。
・・・・・・・・・
固まれ・・・・・・
早く・・・・・・・・
あれ?
あれあれあれあれ??????
なんだこれ!!!?
ぶくぶく?
ぶくぶくぶくぶくぶくぶく??????
泡だ・・・・・・
泡だ!!!!!!
樹脂がどんどん泡立ちながらあふれてきた!!!
うおーやべー!!!!
なんだこりゃ。樹脂入れすぎたのか!?やべーやべーと慌てていたらさらに驚くことが
僕の目の前で展開される!!!
それは・・・・・・・・・・・
↓
↓
↓
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
SUPボードから煙が出てきた!!!!!!
せっかく詰めたフォームを熱で溶かしている!!!!!!!!!!!!!
溶けないんじゃなかったの?という疑問は頭に浮かぶがそんなことを
考えている余裕はない!
なんせ、フォームは「火気厳禁」なのだ。
消したら良いのか?
しかしここで水を使ったら、SUPの内部は再びビチョビチョだ!
どうすりゃ良いんだ?どうすりゃ良いんだ?
落ち着け!落ち着くんだ!!!!
ジミヘンだって、ウッドストックでギターを燃やしてたじゃないか!!!!
しかしジミヘンには目の前に数万人の観客がいた!
僕の目の前に妻しかいない!!
その煙を目の前に僕が出来ることと言えば
ただただおろおろ,だけだった。
煙で目がしみたのか涙が止まらない!!
妻の目の前で結婚式以来の号泣だった。
しかし、煙の量が減りパチパチ音も徐々に少なくなっていっているではないか!
神に祈るしかない。
どこの世に接着剤が発熱してボードから煙を吐き出させるアホがいるのだろう。
やはりこのクソったれの世界で一人ぼっちなのだろう。
そしてしばらくしたら煙の量も減りパチパチって音もなくなった。
はぁはぁ・・・・・
無事・・・・・?なのか・・・・?
中をおそるおそる覗く。
・・・・・・・硬い・・・・・・・
硬いぞ・・・・・・・
どうやら煙をあげた挙句に固まったようだ・・・・・
穴の中の被害状況を確かめたいが、もはやそれは不可能。穴の上部にある
ボード自体をカッターで削るしかないが
そんな勇気はない。押してもさほど凹まないので、もうそこは放っておくことにする。
後々、調べたところによると、この樹脂はEPS用なので用途としては間違いではなかった。
それではなぜ煙を吐くほど高温になってしまったのか。
それは、どうやら一度に大量に使用したからのようだ。
樹脂は硬化剤を入れて固まる時に少なからず熱を持つらしい。
それが大量になればなるほど熱の温度は上がる。つまり正しい樹脂の使い方は
一回流したやつは固まるまで待ってもう一度使うというのが正解なのだ。
そして、固まる際に容量は増える。僕みたいに調子に乗って流しまくると
溢れるし、煙を吐くし、溶かさないと言われているフォームを溶かす。
質の悪い妖怪みたいになるので要注意だ。
これはエポキシ樹脂の使用において、ものすごい有益な情報なので覚えておいて欲しい。
そして今度はゆっくり、穴にフォームを詰め込んで何回にも分けて樹脂を流し込んでいった。
一先ず、この穴も塞ぐことに成功したと同時に気が付いたら涙腺も塞がっていた。
3 ハンドルをはめる
それではいよいよ取ったハンドルをはめていく。
ハンドルをこのままはめるるとSUPの表面と合わず
だいぶぼこぼこしてしまい、凹んでしまう。
なので底にフォームを詰める必要があった。
フォームをなんとなく形に合うように切っていくのだが
この作業、地味なように見えて結構難しい。
上手くやらないとハンドルがやっぱり表面に合わず凸凹してしまうからだ。
また、底に置いたフォームはどうしても隙間が空いてしまう。
この隙間はそのままで良いのか?
ちゃんと埋めとかないと変なとこに負担がいってしまってやっぱり壊れるとか
ないのだろうか・・・・・
考えてもわからないので必殺スターボードジャパンさんにもう一度電話して聞いたところ
驚くべく返答が返ってきた。
「あーーー隙間なんて空いててなーんの問題も無いですよ。フォームってのは
そもそも小さい隙間がいっぱい空いているようなものですから」
なるほど!勇気がもらえた。
そして何度もフォームを切ったりはめたりを繰り返してようやく納得する感じでハンドルが置けた。
そして、ハンドル横の隙間に発泡スチロールを今度も詰めていく。同じくらいにツラに
なったらそこでストップだ。
しかも、今までは隙間が全くないように発泡スチロールを詰めてきたが
今回からは隙間空いててもノープロブレム!と思うと気が楽だ。
良い感じで詰まってきた。
そして周りにマスキングテープを貼り塗った樹脂が違う所に付着しないようにしていく。
さあ、あとはまたエポキシ樹脂を流し込もう。
今回はパウダーをいつもより多めに入れてさらにペースト状にした。
しかし、この作業はやはり難しい。どれだけ入れたら良いのかわからないからだ。
いっぱい作って流し込んじゃうとまた、煙を吐き出すことになるし・・・・
しかし、ちょっと入れては固まるのを待ってまたちょっと入れては・・・を繰り返すのは
非常に面倒だ。
しかしやるしかない。
悩んだ挙句、
一度に限界まで樹脂を作り流し込んでみる作戦にした。
しかし、どこまで作ったら燃えるほどの高温になるかはわからない・・・・
結果。
やっぱりね。
再び煙を吐き出した。
そして詰めたフォームが溶けた(2回目)
煙が出ることが想定内という最強のメンタルを
手に入れた僕には大したダメージにならない。
ダメージを受けたのはSUPボードであって僕は心底平気だ。
やっぱり横着はだめだな。ゆっくり着実にやっていこう。
再度挑戦!と思ったがエポキシ樹脂がもう底をついていた。
これを購入した石垣のサーフショップに
「すみません、もう一個ください」って言ったら
「え?もう無くなったんですか?絶対に使いすぎですよ!」
と言われた。
そうなのだ。僕は樹脂の使い方を若干誤っていたのだと思う。
多分、正解はエポキシ樹脂で隙間に流し込むイメージなのではなくフォーム自体を
ある程度詰めたら、フォームを穴の形に綺麗に切り取り蓋をすれば良いのだ。
そして、その蓋の部分を樹脂で固めてしまえばもう、樹脂は隙間に流れる
こともなく大量に使うこともなく、もちろん煙を発揮出すこともない。
実はそれを学んでから、このボード以外でも数回、ボード修理を行っているが
まさに100戦練磨だ。
そして、再度チャレンジして、今度は上手にいった。
煙を2回も吐き出させた僕が得た技術は僕の人生の糧となったのだ。
ガラスクロスを貼る
さあ、最後の仕上げだ。
ハンドルの周囲に合わせるようにガラスクロスを切り取りエポキシ樹脂で固めていく。
このやり方も、今一よくわからなかったのでスターボードジャパンさんに電話
して聞いてみる。
しかしスターボードジャパンさんは本当に丁寧だ。今度もしボードを買う機会があったら
スターボードにします!ってことを電話口で言ってしまう位丁寧な対応に感動した。
ガラスクロスは1枚でもいいが、2枚重ねが良いとのこと。3枚重ねだとぶ厚すぎて重くなってしまったり
するらしい。ガラスクロス1枚で重さなんてそんなに変わるのか、とも思うが、言われた通りにして2枚重ねでやっていこう。
マスキングテープで、ガラスクロスが付着してほしくないところ、樹脂をつけたくないとこを囲っていく。
そしてハンドル部も手を入れる部分に不必要に樹脂がいかないように適当に新聞紙とか詰めて
マスキングテープをしていく。
そしてガスラスクロスの上から樹脂を割り箸でチョンチョンって感じでつけていけばOKだ。
ガラスクロスが樹脂により透けてくる。
スターボードジャパンさんが教えてくれた裏技を使う時がきた。
このままだとガラスクロスの付着力がそこまで強くない。上から何かで押さえる必要が
あるのだ。しかし、例えば本とかガラスクロスの上に置いてしまうともちろん本ごとくっついてしまう。
どうすれば良いのか。
なんとアンサーはサランラップをひいたら良いとのこと!サランラップはエポキシ樹脂に
反応しないので絶対にくっつかないそうだ。なので樹脂を塗ったらそこにラップをひき本を乗せて
おもしにする事ができるのだ。
うーーーーん、すごい、この裏技は実は数日後に友人のボードのレール部分を修理することに
なるのだが、レール部分は湾曲しているので樹脂が固まるまで整形を保っていくことが難しい時
ラップをひいて湾曲部に合わせることにも成功している位すごい裏技だった。
ラップもひいたので、本を重しにしていく。
固まるまで1晩はじっくりしておこう。
翌朝、本を除けるとものすごい良い感じで接着しているではないか。
しかし仕事に行かなければならなかったので仕上げの作業は夜に
行うことになった。
マスキングテープと一緒にガラスクロスをカッターで削っていく。
そして削った所はボコボコしちゃってるのでそこを中心に全体的にサンドペーパーで磨く。
サンドペーパーの型番はネットで色々意見があるが、ちょい粗目の100番台で磨いて自分が納得するくらいの
細かさのサンドペーパーにしていけばいいのではないか。ちなみに僕も超適当だった。
そして!!!いよいよ!!!完成!!!!!
や、やっと完成した・・・・・・・
7月21日に壊れているのが判明して、完成したのが8月9日だったのでこのベストシーズンとも言える
夏の最中にSUPを使えなかった。
しかし、今、修理の物品も離島の為全然手に入らず、しかも直し方も全く分からない素人の僕が
SUPボードから煙を吐き出すという珍事もあったが修理を完工させたことの喜びに身を震わせた。
おい?今から行くか?
とSUPボードに話しかけてみる。
「もちのろんだよブラザー。」
とSUPボードが答えた。
そして徒歩で40秒の海にSUPを抱えたまま夜の海に飛び出した。
あーーーーーーーー!!!!!気持ちいい!!!!!!!!!!!!!!!!
もちろん夜の海は危険がいっぱいなので、浜から5m位しか離れない。
波の音と、SUPのチャブチャプという音が僕を包む。
その音に包まれながらストレスや今までの苦労を溶かしていく。
これが欲しかったのだ。苦労自体が必ず結果として報われるとは思わないが、苦労をしたという
経験には必ず報いがある。失敗しても良いのだ。結果がどうであれ。
余りの気持ちよさに、祝杯をあげたくなったので一人でBBQをすることにした。
しかし冷蔵庫を開けてもナスしかねぇ。
ナスしかねぇのだ。
まぁナスでも良いか。
ボードを直せるようになった喜びと、ボードが直った喜びとナスの美味さと
偉大なる自然に感謝して、乾杯した。
ビールは格別の美味さだった。
エピローグ
SUPは超楽しいです。
知合いの方が言っていましたが「ボードはリペア(修理)をしながら使うものだよ」と。
確かにアレから数度、ボードを修理する機会に恵まれてます?がボードを修理出来るようになると
SUPLIFEもさらに充実することになっています。。
また、今回のように本格的な修理の場合はエポキシ樹脂やガラスクロスを買ったりしなくては
なりませんがちょっとヒビが入った、とかちょっと凹んだとか、大したことない修理の場合は
紫外線で固まる接着剤があるのでそれがめちゃくちゃおススメですよ。
これは被害部にちょっと塗って、太陽の光にさらすと固まるというものです。
これもちょっとした傷の場合、めちゃくちゃ便利で手軽に修理が出来て
愛用していますので、手元に1個持っておいてください。
是非、皆様もSUP修理に挑戦してみてください。
その際はSUPボードから煙を出さないようにご注意を!!!!
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